神戸ブランドときいて、いちばんに思い浮かべるのはもしかしたらスイーツかもしれません。他の都市のデパートでも、スイーツ売り場には神戸発のスイーツブランドが多く進出しています。実は、神戸は半径350mのなかに、ケーキ屋が15軒あるといわれている、スイーツ激戦区です。しかも、どの店も繁盛し、行列を作っている店も珍しくありません。これは神戸独特の子弟制度や経営姿勢、原材料提供業者のルール、そして神戸の歴史に深くかかわっています。神戸では、弟子がひとつの店で修業して独立するのではなく、別の店に移るのが自由です。これは珍しい制度です。しかし、レシピの持ち出しや原材料提供業者の囲い込みはご法度。また、出店する際には、元の店からは数百m離れることなどが決められています。これらを守りながら、菓子職人がさまざまな店で修業し、常に新しい味を生み出すため、神戸のスイーツは停滞することなく、またそれぞれの店が成功をおさめるのだそうです。そして神戸はパンと同じように、外国人が定住する際に、本場の味をつくれるコックを連れてきました。彼らが日本人にスイーツの作り方も伝授しました。そのレシピから、日本人に合うようにやさしい味と色合いを生み出し、今の神戸スイーツに発展しました。
さらに、神戸では顧客が厳しい。味や見た目へのこだわりもそうですが、何よりも、こうした神戸スイーツの不文律をよく知っています。ある時、岡本にある有名なスイーツ店を独立したパティシエが、同じレシピで少し安く、同じような外観・内装の店を、元の店のすぐそばに開店させました。しかし、一度買った顧客は、それが元の店を真似したものだとわかったとたん、その店には足を向けることがありませんでした。そして、新しい店は数カ月で閉店に追い込まれたのです。同じレシピで安く、しかも店の雰囲気も同じなら、他の都市ではおそらく新しい店が繁盛するでしょう。しかし、神戸の人はそれを許しませんでした。
このような顧客の選別をくぐりぬけてきたスイーツが、神戸ではたくさん味わえます。夢のように飾りつけられたスイーツは、旅をいっそう贅沢な気分にしてくれます。デパートに出店しているスイーツ店も、カフェを併設した店が神戸にありますので、ぜひ立ち寄ってコーヒーや紅茶とともに味わってみたいです。
また、神戸でしか買えないスイーツ店もたくさんあります。日持ちする焼き菓子などもありますので、情報収集をして、おいしいお土産を手に入れたいですね。
